悪いのは誰だ?

函館の老舗洋食屋・五島軒が揺れている。物産展で出品したアイテムが「出品基準」を逸脱してしまったかららしいが、なんだか大げさに報道されてしまっている感が否めないので、(小さい声ではあるけれど)僕が代わりに声をあげておきたいと思う。詳しいニュースソースはこちら。

要旨

今回問題になっているのは、北海道主催の北海道物産展の「出品基準」から外れてしまったということで、健康被害も出ていなければ産地偽装でもありません。結論から言うと、ことさら騒ぎ立てる事でもなくて、むしろ北海道物産展に潜む闇を見たような気がします。

出品基準とは?

はじめに、五島軒が出店している北海道物産展には百貨店主催のものと北海道主催のものがあるそうで、今回問題になっているのは後者の北海道主催の北海道物産の方になる。
その中には独自のルール(「北海道原料の一部使用、もしくは北海道での一部加工をしていない商品を出品してはならない」)があって、この基準から外れる商品を販売しちゃってましたという話です。

五島軒の歴史は明治時代までさかのぼり、今でも函館にお店があって食事も提供しています。ただ、物産展で出品するアイテムについては、到底レストランの厨房では作れる量ではないので、レシピの監修をしたうえで製造を道外の工場に任せているんですね。

「明治のおいしい牛乳」だって全国各地でパック詰めしているんだから、何ら不思議なことではありません。

北海道業者の実態

北海道ブランドを維持して強化しようという意図があるのかもしれないけれど、この「出品基準」なるものはポンコツなルールに思えてしかたがないです。だって、店舗としての実態がないならともかく、お店が実在している(創業でも良いと思う)なら、どこで作ろうがかまわないでしょ。

報道では「関係者の話では・・・」と言っていたので、同業者もしくは元従業員からのタレコミだと推測しますが、端から見ていてみっともないですよ。僕も過去に百貨店の催事中に変なクレームをもらったことがあって、突き詰めてみたら同じフロアで出店しているよそのお店のスタッフだったことがあったんですね。別の知人に相談してみたら、実はよくある話なんだと。要は、やっかみなんです。

これの方がよっぽど「北海道ブランド」に傷をつけていると思うんだけれど・・・。

流通コストを考える

なんで道外に製造を委託していたのかというと、流通コストが安いから。道内で作るよりも、都市圏近郊で製造した方が配送も保管もしやすいからなんです。物産展のたびに、北海道から現地までわざわざ運んでたら運賃が高くついてしょうがないし、台風や大雪などで交通網がマヒした時のリスクヘッジもしておかなればならないのが実態なのです。

僕にも痛い経験があるけれど、開店時に商品がなくて棚がスカスカだったらお店から大クレームなんでね。(そういう時、お客さんは優しくしてくれるんだけど、百貨店は鬼ですから)そういうことまで考えると、特に道内に製造拠点を設ける必要はないのです。

それでも「北海道」にこだわるのは、単なる独りよがりじゃないかなと思います。結局はそのコストは消費者に転嫁されるわけですから。

健康被害は出ていない

結局のところ、健康被害は出ていないんです。衛生管理とは違う次元の話なんでね。たしかに、広い意味では「品質管理」にあたるのかもしれないけれど、誰も得しない過度の要求を制止するのも「品質管理」です。ムリ・ムダ・ムラを省くのが、品質管理の本質ですから。

一部の人たちは、鬼の首を取ったように騒いでいるけど、ことさら騒ぎ立てる問題でもないと思います。

ちなみに、五島軒は、「北海道主催の北海道物産展」への参加を無期限で自粛すると発表していますが、ずっと出店しなくて良いですよ。だってヘンだもの。

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