自分の目で確認するー取引先の場合


 今日は前回の続きです。お題は『自分の目で確認する』ですが、今日は取引先にたいする監査について考えてみます。
 単刀直入にお伺いしますが、あなたの会社では取引先にたいして定期的な監査を行っていらっしゃいますか?「昔からの付き合いで・・・」。これでは済まされないのが、今の世の流れです。実際に取引先に出向いて確認しましょう。

 原材料などの仕入先の工場の監査を行う時には、具体的に何をすればいいのでしょうか。
 ISO・HACCPなどの一定の品質基準が備わっている工場にたいしては、定められた内容に従って監査を行えば問題がないかと思います。一方で、バングラデシュで起きた工場の倒壊事故のように、違法な建築工程で造られた工場に出くわした場合には、どのように対処すべきなのでしょうか。

 万一この工場で大きな事故が起きてしまえば、原料をスムーズに仕入れることができなくなってしまい、商品の供給が滞ってしまいますね。実は、日本国内の工場においても、明らかな違法建築の工場が見受けられる場合があるのです。
 避難経路がない工場、敷地めいっぱいに建てられた工場、雨水の排水を考えていない工場、敷地内に腐敗臭が漂っている工場など、私は実際に見てきました。今でも、その工場の製品は購入しません。というより、恐くてできませんね。

 監査のための第一歩として、工場カルテを用意します。
 工場カルテは、その工場の概要・設備・敷地・クレーム情報などの問題点を把握できるようにしておきます。まず、工場カルテを作成して、次に点数化を行います。クレームの発生件数・細菌検査結果などを用いましょう。

 長年の付き合いのある仕入先で、違法建築の倉庫を造ってしまっていることが発覚したとします。今仕入れている原材料を急に止めることはできません。その代わり、いつまでに改善できるのかを、仕入先と打ち合わせを行いましょう。
 ケンカをしに行っているわけでありませんので、あくまでも対等な関係を心がけます。私の経験上、そうしないとうまく協力を得られないことがあるからです。

 まず、違法建築であることを認識してもらい、改善を約束してもらいます。改善計画を提出してもらい、計画通りに改善が進んでいるかを再監査を行います。言いっぱなしはいけません。
 違法建築は極端なケースですが、更衣室が工場内になく、従業員の方が自宅から作業着を着て通勤している工場や、更衣室が別棟で室外を作業着のまま歩かざるを得ないような工場などザラにあります。
 改善計画の提出を渋ったり、お茶を濁してその場をやり過ごそうとする場合には、その仕入先との取引は中止すべきだと私は考えます。毅然とした態度でのぞみましょう。

 順番が前後しますが、どこの取引先にたいして重点的に監査を行うのかを判断するために、日常的に発生したクレームをデータ化しておきましょう。
 その際、クレームのインパクト(重要度)で点数を付けていきます。
 金属混入クレームなどの重大なクレームは100点、軽微なクレームは10点といった具合です。重大なクレームが連発すると、必然的に点数が高くなっていきます。クレームの点数が高い取引先には、集中的に工場監査を行います。

 大切なのは、他人(取引先)任せにしないことです。

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